看護師の平均年収はどれくらいなの?年代別、地域別、施設種類別などで最新情報を紹介します【2025年版】

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本記事では、最新の統計データをもとに、看護師の平均年収を年代別、地域別、施設種類別に詳しく解説します。看護師として働く際、給与水準は重要な要素の一つです。転職やキャリアアップを検討されている方は、まずはご自身が給与の平均値と比べてどのあたりに位置しているのかを確認の上でぜひ参考にしてください。

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全国における看護師の平均年収:2024年最新データとその背景

厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」は、日本の様々な職種の給与水準を示す重要な統計データです。この調査によると、2024年の看護師の全国平均年収は約519.7万円でした。これは、前年の2023年調査で示された約508万円から約10万円の増加となっており、看護師の給与水準が緩やかな上昇傾向にあることを示しています。

この年収増加の背景には、複数の要因が考えられますが、特に注目されるのが2024年度に導入された「ベースアップ評価料」の影響です。

「ベースアップ評価料」とは?

「ベースアップ評価料」とは、医療機関が医療従事者の賃金引き上げを行う場合に、診療報酬として追加的に加算される制度です。少子高齢化の進展や医療現場における人材不足が深刻化する中で、質の高い医療を安定的に提供するためには、医療従事者が安心して働き続けられる環境の整備が不可欠とされています。この評価料は、そのような背景から、医療機関が職員の基本給などを引き上げる取り組みを後押しするために導入されました。

具体的には、政府は2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップを目標として掲げており、この評価料を通じてその実現を図っています。ベースアップ評価料によって得られた収入は、原則として全額を対象職員の基本給または毎月支給される手当に充てることが義務付けられています。これにより、看護師をはじめとする医療従事者の実質的な収入向上に繋がることが期待されています。

看護師の年収上昇の背景と展望

2024年の看護師の平均年収が前年を上回ったことは、この「ベースアップ評価料」が一定の効果を発揮していることを示唆しています。これまでも看護師の年収は、経験年数を重ねるごとに増加する傾向がありましたが、今回の制度導入により、全体的な底上げが図られていると言えるでしょう。

ただし、この評価料は入院医療を実施する医療機関や訪問看護ステーションが対象であり、介護施設や介護保険サービスの事業所は対象外となる点には注意が必要です。また、医療機関によっては、ベースアップ評価料の算定や賃上げ促進税制を導入しない可能性もあるため、すべての医療機関で一律に賃上げが実施されるわけではありません。各医療機関の経営状況や人事戦略によって、賃上げの度合いには差が生じる可能性があります。

将来的には、このベースアップ評価料が継続的に実施され、さらには賃上げの対象範囲が拡大されることで、看護師の処遇改善がより一層進むことが期待されます。医療現場における看護師の役割の重要性は増すばかりであり、その専門性と貢献に見合った適正な評価がなされることは、医療全体の質の向上にも繋がるでしょう。

このように、2024年の看護師の平均年収上昇は、政策的な後押しと医療現場のニーズが合致した結果と言えます。今後も、看護師の働き方やキャリアパス、そして賃金水準に関する動向は、医療業界において重要な注目点であり続けるでしょう。



看護師の平均年収:年代別に見るキャリアと収入の変化

看護師のキャリアパスは多様であり、それに伴い年収も経験年数や年齢とともに変動します。厚生労働省の統計データから見えてくるのは、看護師の年収が特定の年齢層でピークを迎え、その後は働き方の変化によって推移する傾向です。ここでは、各年代における看護師の平均年収とその背景にある要因について詳しく掘り下げていきます。

20代:キャリアのスタートと成長期

  • 20~24歳:約401万円
  • 25~29歳:約474万円

看護師として働き始めたばかりの20代前半は、新卒・第二新卒が多く、年収は他の年代と比べて低い傾向にあります。この時期は、基本的な看護技術の習得や臨床経験を積むことが最優先されるため、給与水準も経験やスキルに応じて上がっていきます。25~29歳になると、数年の経験を積むことで業務に慣れ、夜勤に入る機会も増えるため、年収は大きく上昇します。多くの看護師がこの時期に、病棟での実践的なスキルを磨き、将来のキャリアの基盤を築きます。新卒で大学病院や規模の大きな病院に就職した場合、教育体制が充実している反面、給与水準も比較的高い傾向にあります。

30代:専門性の深化と責任の増加

  • 30~34歳:約487万円
  • 35~39歳:約485万円

30代に入ると、看護師としての専門性が一層深まります。特定の診療科での経験を積んだり、認定看護師や専門看護師などの資格取得を目指したりする人も増えてきます。チームリーダーやプリセプター(新人指導者)など、後輩の育成やチームマネジメントといった責任ある役割を任される機会も多くなり、それが年収にも反映されます。ただし、30代後半で一時的に年収がわずかに下がる傾向が見られるのは、出産や育児を機に時短勤務やパート勤務を選択する看護師が増えるためと考えられます。しかし、経験豊富な看護師が不足している現状から、子育てが落ち着いた後にフルタイム勤務に戻ったり、管理職を目指したりすることで、再び年収が上昇する可能性も十分にあります。

40代:キャリアの中堅層と管理職への道

  • 40~44歳:約522万円
  • 45~49歳:約552万円

40代は、看護師として中堅のベテラン層となり、年収も着実に上昇していきます。長年の臨床経験によって培われた知識とスキルは、質の高い看護実践に不可欠であり、後輩の指導や病院全体の業務改善にも貢献します。この年代になると、病棟主任や看護師長といった管理職に昇進する人も増え、役職手当が加わることで年収が大きく伸びる傾向にあります。また、病院だけでなく、訪問看護ステーションやクリニック、企業などで専門性を活かした働き方を選択する看護師もおり、多様なキャリアパスが年収に影響を与えます。

50代:年収のピークと豊富な経験

  • 50~54歳:約567万円
  • 55~59歳:約586万円

看護師の年収は、この50代後半でピークを迎えます。統計データによると、55~59歳で約586万円と最も高くなっています。この年代の看護師は、豊富な臨床経験、専門知識、そしてマネジメント能力を兼ね備えており、病院運営の中核を担う存在です。多くの人が管理職として活躍しており、その責任の重さや貢献度が年収に反映されています。また、特定の分野で高度な専門性を極めたスペシャリストとして、教育や研究に携わるケースもあります。この時期は、これまでのキャリアの集大成とも言える期間であり、培ってきた経験が最大限に評価される傾向にあります。

60代以降:働き方の多様化と年収の変化

  • 60~64歳:約478万円
  • 65~69歳:約450万円
  • 70歳以上:約445万円

年収のピークを過ぎた60代以降は、平均年収が下降する傾向にあります。これは、定年退職を迎える、または再雇用制度を利用して勤務形態が変更になる、あるいは体力的な理由から夜勤を減らしたり、パートタイム勤務に切り替えたりする看護師が増えるためです。急性期の病棟から、外来、クリニック、介護施設、あるいは単発のアルバイトなど、より負担の少ない働き方を選択するケースが多く見られます。しかし、長年の経験と知識は依然として高く評価されており、特に専門性の高い分野では、非常勤講師やアドバイザーとして活躍するなど、経験を活かした柔軟な働き方で収入を得ることも可能です。年収が下降するとはいえ、その経験値は医療現場にとって非常に貴重な財産であり続けています。


まとめ:経験が年収に直結する看護師のキャリア

看護師の平均年収は、年齢と経験年数に強く相関しており、特に40代から50代にかけて年収が大きく伸びる傾向が見られます。これは、専門性の深化、責任ある役職への昇進、そして長年の臨床経験が正当に評価される結果と言えるでしょう。年代別の年収傾向を理解することは、自身のキャリアプランを考える上で非常に重要な指標となります。将来の目標年収を設定し、そのためにはどのような経験を積み、どのような資格を取得し、どのような働き方を選択するべきかを具体的に検討する際の参考にしてください。



看護師の地域別平均年収:都市部と地方の格差とその背景

看護師の給与水準は、勤務する地域によって大きく異なります。これは、その地域の経済状況、医療機関の集中度、物価水準、さらには地域ごとの医療ニーズといった様々な要因が複雑に絡み合っているためです。上記のデータからもわかるように、最も平均年収が高いのは東京都の約568.9万円であり、最も低いのは鹿児島県の約426.9万円と、その差は約142万円にも上ります。この大きな地域差は、看護師が転職や就職を考える上で非常に重要な要素となります。

都市部の高水準年収の背景

東京、大阪、京都、神奈川といった大都市圏は、看護師の平均年収が高い傾向にあります。これにはいくつかの理由が考えられます。

  • 大規模病院の集中: 都市部には、大学病院や特定機能病院といった大規模な医療機関が集中しています。これらの病院は、高度な医療を提供するために多くの専門性の高い看護師を必要とし、その分、給与水準も高く設定されている傾向があります。また、夜勤体制が充実しているため、夜勤手当による収入増も期待できます。
  • 高い物価水準と生活コスト: 都市部は、地方と比較して家賃や食費などの物価水準が非常に高いです。そのため、高い生活コストを賄うために、給与水準も自然と高めに設定される傾向があります。企業間競争が激しい分、人材確保のためにも高待遇を提示せざるを得ない側面もあります。
  • 医療ニーズの高さと多様な専門性: 都市部には人口が集中しており、高齢化の進行も相まって、医療ニーズが非常に高いです。急性期医療から慢性期医療、専門的ながん治療や先進医療まで、多種多様な医療サービスが提供されており、それに伴い様々な専門性を持った看護師の需要が高いです。認定看護師や専門看護師といった専門資格を持つ看護師の需要も高く、資格手当などが年収に上乗せされるケースも少なくありません。
  • 人材獲得競争の激化: 都市部は医療機関が多いため、看護師の採用競争が激しくなります。優秀な人材を確保するために、各医療機関は給与だけでなく福利厚生や教育体制の充実など、様々な面で魅力的な条件を提示しています。

地方の平均年収とその要因

一方で、鹿児島県、宮崎県、沖縄県などの地方圏では、平均年収が都市部に比べて低い傾向にあります。

  • 地域経済の規模: 地方は一般的に都市部に比べて経済規模が小さく、企業の収益力も限定的であるため、それが医療機関の経営にも影響し、結果として看護師の給与水準が低めに設定されることがあります。
  • 医療機関の規模と種類: 地方では、大規模な大学病院や総合病院の数が都市部に比べて少ない傾向にあります。中小規模の病院やクリニック、介護施設が中心となることが多く、これらの施設は一般的に給与水準が都市部の大規模病院ほど高くない場合があります。
  • 物価水準の低さ: 地方は都市部に比べて物価や家賃が安いため、生活コストが低く抑えられます。そのため、年収が都市部より低くても、実質的な可処分所得や生活のゆとりは、都市部の看護師と大きく変わらないケースも考えられます。
  • 医療ニーズの違い: 地方では、高齢化が特に進んでいる地域が多く、慢性期医療や介護、在宅医療のニーズが高い傾向にあります。急性期医療に比べて夜勤の機会が少ない施設も多く、これが年収に影響を与えることもあります。
  • 働き方の多様性: 地方では、ライフスタイルを重視し、ワークライフバランスの取れた働き方を希望する看護師も多く、夜勤の少ないクリニックや介護施設を選ぶ傾向が見られます。これが全体の平均年収を押し下げる要因となることもあります。

地域差を踏まえたキャリアプランの検討

看護師の地域別年収の違いは、単に数字上の差だけではありません。その背後には、各地域の医療提供体制、人口構成、経済状況、そして人々のライフスタイルが色濃く反映されています。

例えば、高年収を追求したいのであれば、大都市圏の大規模病院での勤務が有利となるでしょう。しかし、高い年収は高い生活コストと引き換えになることもあります。一方、地方では年収は控えめかもしれませんが、豊かな自然環境、通勤時間の短縮、地域コミュニティとの繋がりなど、都市部では得られない生活の質を享受できる可能性があります。

看護師としてのキャリアを考える際には、単に年収の数字だけにとらわれず、自身のライフプラン、重視する働き方、将来どのような看護師になりたいかといった視点も併せて検討することが重要です。地域ごとの医療機関の特徴や求人情報、福利厚生なども詳しく調べ、自分にとって最適な選択をすることが、充実した看護師人生を送るための鍵となるでしょう。


看護師の年収:地域と年代の複合的な影響を読み解く(拡充版)

看護師の平均年収は、単に年齢や経験年数だけで決まるものではありません。勤務する地域と年代(経験年数)の組み合わせによって、その水準は大きく変動します。ここでは、主要な都市部と地方における年代別の平均年収の目安を提示し、それぞれの傾向と背景にある要因を深掘りしていきます。

地域別×年代別 平均年収の概算データ

年代東京都大阪府愛知県北海道広島県福岡県宮城県石川県和歌山県高知県鹿児島県
20代約450万円約430万円約420万円約405万円約415万円約410万円約400万円約395万円約390万円約385万円約380万円
30代約510万円約500万円約480万円約460万円約470万円約460万円約450万円約445万円約440万円約435万円約420万円
40代約560万円約540万円約510万円約500万円約520万円約490万円約470万円約465万円約460万円約455万円約430万円
50代約590万円約570万円約540万円約530万円約550万円約510万円約480万円約480万円約475万円約470万円約440万円
60代約520万円約500万円約480万円約470万円約480万円約460万円約440万円約440万円約435万円約430万円約420万円

※これらの数値は、統計データや求人傾向に基づいた概算であり、個別の状況(病院の種類、規模、夜勤の有無、役職、資格など)や最新の経済状況、各医療機関の経営状況によって変動する可能性があります。あくまで目安としてご参照ください。

追加地域に関する補足と傾向

新たに加えた地域についても、一般的な傾向を考慮して概算値を設定しています。

  • 北海道: 地域医療の重要性が高く、都市部と地方で差はありますが、札幌市などでは一定の給与水準が見込めます。寒冷地手当なども影響する場合があります。
  • 広島県: 中国地方の主要都市であり、政令指定都市です。中四国地方では比較的高い水準で、都市部の傾向に近い年収が見込めます。
  • 石川県: 北陸地方の主要都市(金沢市など)を擁し、比較的安定した給与水準です。都市部ほど高くはありませんが、地方の中では上位に位置する傾向があります。
  • 高知県、和歌山県: 両県とも、他の地方と同様に、全体的には大都市圏より年収は低めとなる傾向があります。特に、高齢化が進行している地域では、急性期病院よりも慢性期病院や介護施設での勤務が多くなる傾向があり、それが平均年収に影響を与えることもあります。

傾向ポイントの再確認と深掘り

上記のデータから、以下の主要な傾向が改めて見て取れます。

1. 都市部(東京・大阪・愛知など)の年収優位性

大都市圏では、すべての年代において地方と比べて平均年収が高い傾向が明確です。これは、前述の通り、大規模医療機関の集中、激しい人材獲得競争、夜勤手当や職務手当の充実、管理職への昇進機会の多さが複合的に作用しているためです。愛知県(名古屋市)も三大都市圏の一角として、他の地方都市より高い水準を維持しています。

2. 地方(北海道、福岡、宮城、石川、和歌山、高知、鹿児島など)の年収傾向と生活コスト

地方圏では、都市部と比較して平均年収が低い傾向にあります。しかし、この年収差は、物価や生活コストの低さによってある程度相殺される可能性があります。

  • 実質的な可処分所得: 年収額は低くても、家賃、食費、交通費などが安価であるため、手元に残るお金(可処分所得)が都市部の高年収者と大きく変わらないケースも存在します。
  • ワークライフバランスと生活の質: 地方では、通勤時間の短縮、自然豊かな環境、地域コミュニティとの繋がりなど、都市部では得にくい「生活の質」を重視した働き方が可能です。夜勤が少ない、残業が少ない施設が多い傾向も、ワークライフバランスを重視する看護師にとっては魅力となるでしょう。
  • 地域医療への貢献: 地方では、看護師一人ひとりの役割がより広範で、地域医療への貢献を強く実感できるケースも多いです。

3. 50代での年収ピークと60代以降の働き方の変化

全国的な傾向と同様に、地域を問わず看護師の年収は50代でピークを迎えることがこのデータからも明確です。これは、長年の臨床経験、専門性の深化、そして管理職としての役割が評価されるためです。

しかし、60代になると年収は減少傾向に転じます。これは、定年退職、再雇用による勤務形態の変更、夜勤の減少、パートタイム勤務への移行など、体力的な負担やライフスタイルの変化に合わせて働き方を変える看護師が増えるためです。

まとめ:地域と年代を考慮した戦略的なキャリアプラン

看護師の年収は、「地域」と「年代」の組み合わせによって複雑に変化します。自身のキャリアプランを立てる際には、以下の点を考慮することが重要です。

  • 高年収を追求するか、生活の質を重視するか: 大都市圏の高年収は魅力的ですが、高い生活コストも伴います。地方では年収は低めでも、物価が安く、ワークライフバランスを取りやすい環境があるかもしれません。
  • キャリアの段階に応じた選択: 20代のうちは都市部の大規模病院で経験を積み、専門性を高める。30代以降は、ライフイベントに合わせて働き方を変えつつ、キャリアアップを目指す。50代で培った経験を活かし、60代以降は柔軟な働き方を選択するなど、年代ごとに戦略的に地域や勤務先を選ぶことができます。
  • 情報収集の重要性: 希望する地域の医療機関の求人情報だけでなく、その地域の物価、住環境、子育て支援なども含めて多角的に情報を収集することが、後悔のないキャリア選択に繋がります。

この地域別×年代別の概算データは、看護師としてのあなたのキャリアパスを考える上で、重要な羅針盤となるでしょう。


補足:年収を上げるための選択肢

地域や年代による年収の違いをふまえて、「希望する働き方でどこまで年収を上げたいか」を整理することが重要です。
例えば次のような工夫で年収アップが期待できます:

  • 大都市圏への転職
  • 夜勤ありの病棟勤務を選ぶ
  • 管理職・専門看護師の資格取得
  • 高給与の求人に強い転職エージェントを活用する
  • 空いた時間に単発バイトをする

こちらの記事も参考にして下さい。


看護師の平均年収:勤務施設の種類による大きな違いとその理由

看護師の年収を決定する要因は多岐にわたりますが、中でも「勤務する施設の種類」は非常に大きな影響を与えます。同じ看護師という職種であっても、大学病院とクリニック、あるいは介護施設では、業務内容、勤務体系、そして給与水準が大きく異なるのが実情です。ここでは、主要な施設種類別に看護師の平均年収の傾向を深掘りし、その背景にある具体的な理由を解説します。

施設種類別の平均年収傾向

  • 大学病院・大規模病院:約564.8万円
  • 一般病院:約495.0万円
  • クリニック・診療所:約459.6万円
  • 介護福祉施設:約375.0万円

上記のデータからもわかるように、最も高年収なのは大学病院や大規模病院であり、介護福祉施設が最も低い傾向にあります。この差は、年収に直結するいくつかの要素によって生じています。

1. 大学病院・大規模病院:高年収の理由

平均年収が約564.8万円と最も高い大学病院や大規模病院は、高収入を目指す看護師にとって魅力的な選択肢です。その高年収の背景には、以下の理由が挙げられます。

  • 高度急性期医療と夜勤体制の充実: 大学病院や大規模病院は、重篤な患者や複雑な疾患に対応する高度急性期医療を提供しています。そのため、24時間体制での手厚い看護が必要とされ、多くの看護師が夜勤シフトに従事します。夜勤手当は、基本給に加えて支給されるため、年収を大きく押し上げる主要な要因となります。
  • 各種手当の充実: 危険手当、特殊勤務手当、緊急対応手当など、業務内容に応じた様々な手当が充実している傾向にあります。また、認定看護師や専門看護師といった専門資格に対する手当、住宅手当や扶養手当なども手厚い場合が多く、これらが年収を底上げします。
  • 教育体制とキャリアアップ: 新卒看護師の教育プログラムから、継続的なスキルアップ研修、専門分野の研修まで、教育体制が非常に充実しています。これにより、看護師は自身の専門性を高め、認定看護師や専門看護師、特定行為研修修了者といった上位資格取得を目指しやすく、それが昇給や昇進に繋がりやすい環境です。
  • 管理職ポストの多さ: 規模が大きい分、病棟主任、看護師長、副看護部長、看護部長といった管理職のポストも豊富に存在します。経験と実績を積んだ看護師が管理職に昇進することで、役職手当が加わり、年収が大幅に増加します。
  • 研究・教育への従事: 大学病院では、臨床だけでなく研究や教育活動に携わる機会もあり、そうした役割も年収に反映されることがあります。

2. 一般病院:標準的な年収とその多様性

平均年収が約495.0万円の一般病院は、看護師が最も多く勤務する施設形態の一つです。

  • 幅広い医療提供: 一般病院は、地域の多様な医療ニーズに応えるため、急性期から回復期、慢性期まで幅広い医療を提供しています。そのため、夜勤の有無や回数は、病院の規模や専門性、病棟の種類によって大きく異なります。
  • 給与水準の幅: 大規模な総合病院から、地域の中核病院、専門病院まで、一般病院と一口に言っても規模や経営状況は様々です。これにより、給与水準にも比較的幅があり、福利厚生や手当の内容も病院によって異なります。
  • 地域医療への貢献: 地域の中核を担う病院が多く、地域住民の健康を支える重要な役割を担っています。特定の専門分野に特化した病院では、その分野の専門知識や技術を持つ看護師の需要が高く、年収に反映されることもあります。

3. クリニック・診療所:ワークライフバランス重視の選択肢

平均年収が約459.6万円のクリニック・診療所は、年収面では他の施設より低い傾向にありますが、その分、ワークライフバランスを重視する看護師に選ばれています。

  • 夜勤が少ない・なし: ほとんどのクリニックや診療所は、日中のみの診療体制であり、夜勤がありません。これにより、生活リズムが整いやすく、子育て中の看護師や、プライベートの時間を確保したい看護師にとって大きな魅力となります。
  • 残業が少ない傾向: 外来診療が中心のため、緊急入院や急変対応が少なく、比較的定時で帰れることが多いです。
  • 手当の種類が限定的: 夜勤手当がない分、年収は抑えられます。また、大規模病院のような特殊手当や役職手当の種類も限られる傾向にあります。
  • 専門性の特化と経験の幅: 内科、外科、皮膚科、眼科など、特定の診療科に特化しているため、その分野の専門知識や技術を深く習得できます。一方で、幅広い臨床経験を積む機会は限られる場合があります。

4. 介護福祉施設:最も年収が低い傾向とその理由

平均年収が約375.0万円と、看護師が働く施設の中で最も低い傾向にあるのが介護福祉施設です。

  • 医療行為の範囲: 介護福祉施設における看護師の主な業務は、利用者の健康管理、服薬管理、医療処置(胃ろう、吸引など)、緊急時の初期対応などであり、急性期病院のような高度な医療行為は少ないです。
  • 夜勤の少なさ・手当の差: 介護施設によっては夜勤がある場合もありますが、病院に比べて人員配置基準や業務内容が異なるため、夜勤手当の額が病院ほど高くないことが多いです。日勤のみの施設も多いため、全体的に手当が付きにくい傾向にあります。
  • 経営母体の違い: 介護福祉施設は、医療機関とは異なる経営形態であるため、収益構造や給与体系が異なります。多くの場合、医療機関よりも給与水準が低めに設定されている傾向があります。
  • 安定した勤務環境: 一方で、緊急対応が少なく、利用者の生活を支える看護が中心となるため、比較的落ち着いた環境で働くことができます。高齢者とじっくり向き合いたい、生活支援に携わりたい看護師にとってはやりがいを感じやすい職場です。

まとめ:自身の優先順位に合わせた施設選び

看護師の年収は、勤務する施設の種類によって明確な傾向があります。高年収を目指すのであれば、夜勤が多く、高度な医療を提供する大学病院や大規模病院が有利です。しかし、ワークライフバランスや特定のケアへの関心が高いのであれば、クリニックや介護福祉施設が適している場合もあります。

自身のキャリアプラン、生活スタイル、そして「どのような看護師になりたいか」という長期的な視点を持って、最適な勤務先を選択することが、看護師としての充実したキャリアを築く上で非常に重要です。年収だけでなく、福利厚生、教育体制、職場の雰囲気なども含めて総合的に検討することで、後悔のない選択ができるでしょう。


まとめ:看護師の年収を左右する複合的な要因とキャリア戦略

本記事では、看護師の平均年収について、最新の統計データと多角的な視点から詳しく解説してきました。2024年の全国平均年収が約519.7万円と前年より増加した背景には、「ベースアップ評価料」の導入など、医療従事者の処遇改善に向けた国の取り組みが影響しています。しかし、看護師の年収は、この全国平均だけでは語りきれないほど、多くの要因によって大きく変動することがお分かりいただけたかと思います。


1. 年齢・経験年数による年収の推移

看護師の年収は、そのキャリアパスと密接に連動し、年齢・経験年数とともに着実に増加する傾向があります。

  • 20代前半はキャリアのスタート地点で年収は約401万円と低めですが、経験を積むにつれて着実に上昇し、20代後半には約474万円に到達します。この時期は、実践的なスキル習得と夜勤経験が年収アップに大きく貢献します。
  • 30代は専門性を深め、チームリーダーなどの責任ある役割を担うことで年収も約480万円台で推移します。一時的に育児などで年収が下がるケースもありますが、経験値が評価されるため、その後再び上昇する可能性があります。
  • 40代は中堅のベテラン層として、管理職への昇進も視野に入り、年収は約520万円台から550万円台へと大きく伸びます。長年の経験と知識が最大限に活かされる時期です。
  • 年収のピークは50代後半で、約586万円に達します。この年代の看護師は、豊富な経験と管理能力により、病院運営の中核を担い、その貢献度が年収に反映されています。
  • 60代以降は、定年や体力的な理由から夜勤を減らす、パート勤務に移行するなど、働き方が多様化するため年収は約400万円台後半へと下降傾向にありますが、培った経験は非常に貴重であり、柔軟な働き方で活躍し続けることが可能です。

2. 地域による年収の大きな格差

勤務する地域も、看護師の年収を大きく左右する重要な要素です。

  • 都市部(東京都、大阪府、神奈川県など)は、大規模病院の集中、高い物価水準、人材獲得競争の激化などから、平均年収が非常に高く、特に東京都は約568.9万円と全国トップクラスです。夜勤手当や各種手当も充実しており、管理職への昇進機会も豊富です。
  • 地方(鹿児島県、宮崎県、沖縄県など)は、都市部に比べて平均年収が低い傾向にあり、鹿児島県は約426.9万円と最も低くなっています。ただし、地方は物価や生活コストが安いため、年収額が低くても実質的な可処分所得は都市部とそれほど変わらないケースも多く、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。

地域別×年代別のデータからも、この傾向は明確です。例えば20代では東京都と鹿児島県で約70万円の差がありますが、50代のピーク時にはこの差が約150万円にまで広がることが示唆されています。自身のライフプランや重視する働き方に応じて、最適な地域を選択することが重要です。


3. 施設種類による年収の違い

勤務する施設のタイプによっても、看護師の年収は大きく異なります。

  • 大学病院・大規模病院は、高度急性期医療、充実した夜勤体制、手厚い各種手当、そしてキャリアアップの機会が豊富なため、平均年収が約564.8万円と最も高水準です。
  • 一般病院は、約495.0万円と標準的な水準で、病院の規模や専門性によって給与に幅があります。地域医療の中核を担う役割が多いです。
  • クリニック・診療所は、夜勤が少ない、あるいはなく、残業も比較的少ないため、ワークライフバランスを重視する看護師に人気ですが、平均年収は約459.6万円と病院よりは低めです。
  • 介護福祉施設は、医療行為の範囲が病院より狭く、夜勤手当も限定的であるため、平均年収は約375.0万円と最も低い傾向にあります。しかし、安定した勤務環境で利用者とじっくり関われる魅力があります。

まとめ:自分に合ったキャリアプランを見つけるために

看護師の平均年収は、年代(経験年数)、地域、勤務施設の種類という複数の要因が複雑に絡み合って形成されます。高収入を目指すのであれば、大都市圏の大規模病院で経験を積み、夜勤をこなし、管理職や専門看護師を目指すのが効果的な戦略です。一方で、ワークライフバランスや特定のケアへの情熱を優先するならば、年収が多少低くても、クリニックや介護福祉施設が適しているかもしれません。

転職やキャリアアップを検討する際は、これらの情報を参考に、単に年収の数字だけでなく、ご自身のライフスタイル、将来の目標、そして「どのような看護師として社会に貢献したいか」という視点も合わせて考えることが大切です。多様な働き方と選択肢の中から、あなたにとって最適な道を見つけ、充実した看護師人生を歩んでください。

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